2017/10/23 723

. 戦いすんで .

大荒れの天候の中、総選挙が終了。

突然の総理の解散を受け、野党勢力の体制が整わないまま選挙戦に突入。

国会ばかりか、対抗する民進党まで解散。

現政権の批判の受け皿として登場した新政党はバラバラ。

まさに安倍総理の思うツボの結果となりました。



この結果を受け、消費税の10パーセントへの移行も実質決定。

2パーセントの増税分は教育予算に回すという選挙目当ての政策も実行されそうです。

おまけにこの度の増税案はこれまた弱者対策という名の軽減税率を初めて適用。

本来の財政再建の趣旨とはますますかけ離れてきました。



食料品は従来の8パーセントに据え置くという軽減税率案。

一見素晴らしい案に見えますが、それにかかる費用は全て民間の企業持ちです。

当社を例にすれば、酒類は10パーセント、酒粕は8パーセントとなります。

これを仕分けするにはコンピュータソフトを入れ替えねばなりません。

その費用、1000万円をはるかに上回ります。

小売店を例にとればレジスターの入れ替え、伝票の刷り直し等の費用増。

小規模酒屋にはずっしり重たい費用です。



もっと複雑なのは飲食店でのテイクアウト。

店内で食べれば10パーセント,お持ち帰りは8パーセント。

果たしてこんな複雑な制度が実行できるのでしょうか。

寿司屋で家族用の折り詰めを頼むと、板前さんに睨まれることになるかも。

福祉政策と財政再建策の混同で、食品関係の中小企業が犠牲にならないことを祈る

ばかりです。





2017/10/16 722

. 小沢と直純 .

先日、時間待ちの書店で「山本直純と小澤征爾」という新書を見つけました。

電車で読みふけるうちに、思わず乗り過ごしそうにになるほどの面白さです。

音楽家として対照的な二人のの交流と友情の物語。

不覚にも後半、目頭が熱くなりました。



1985年、当時38歳だった私は四日市青年会議所の理事長でした。

創立30周年の記念事業として企画したのが「交響詩 四日市」の製作、初演。

多くの著名な作曲家に依頼しましたが、ほとんどに断られ最後にお願いしたのが

山本直純さんでした。

製作期間が約半年。しかも初演は四日市のアマチュアのオーケストラと合唱団。

「ベートーベンでも人生で9曲の交響曲しか作っていないんだぞ」と笑いながら

最後は快く引き受けていただきました。

東京での打ち合わせで痛飲したこと。スコアが出来上がる度にファクスで送られ、

それを大量にコピーしたこと。

昨日のように思いだします。

特に初演の満員のホールで彼の飛び跳ねる指揮ぶりと、市民のスタンディング

オベーションの感動は忘れられません。



小沢征爾と山本直純という二人の天才の交わり。

山本のこの言葉がすべてを物語ります。

「音楽の底辺を俺は広げる仕事をするから、お前はヨーロッパへ行き頂点を目指せ。

征爾が帰ってきたら、お前のためにオーケストラをちゃんと日本に用意しておくから」

なんと男気にあふれた言葉でしょうか。


朝日新書 770円




2017/10/10 721

. 秋深し .

先週は大忙し。

木曜日に法人会の全国大会が福井で開催され、翌日は清酒「三重の新嘗」の醸始祭。

三重県神社庁より依頼を受け、新嘗祭の御神酒の醸造させていただいて早や五年。

とんぼ返りで引き返し、当社の蔵へおっとり刀でモーニングに着替えて滑り込みました。

当日はあいにくの雨。気分は文字どうり晴れません。

しかし、三重県神社庁長官のご挨拶を聞きその不安は一掃されました。

「素晴らしい浄めの雨に恵まれ、一年の酒造りは安泰」。

なんともありがたいお言葉に杜氏、蔵人一同気合が入ります。



日曜日は午前中、幼稚園年長組の孫の運動会。

子供の数より多い応援の父母、祖母祖父にびっくり。

孫の成長に目を細めながら、少子高齢化の現実を目の当たりにしました。



午後からはロンドンフィルの名古屋公演へ。

ウラディーミル ユロフスキの指揮、辻井伸行のピアノというワクワクのコンサートです。

今や飛ぶ鳥を落とす勢いのロシア出身の若きマエストロ。

プログラムはチャイコフスキーのコンチェルトとシンフォニーの第5番。

一糸乱れぬ弦の分厚い響きに透明感あふれる菅の音色。

それに呼応するかのような辻井伸行の超絶技巧のピアノが絡む至福のステージです。



酒つくり、スポーツ、芸術が詰まった一週間。

いよいよ秋本番となりました。




2017/10/02 720

. ひよっこロス .

朝ドラ「ひよっこ」が半年の放送を終了。

視聴率も尻上がりに好調で、特に団塊の世代の支持は圧倒的。

週明け、今日からの「ひよっこロス」が心配です。



このドラマのヒットの最大の要因は岡田恵和の脚本の素晴らしさ。

登場人物の個性が際立ち、スピンオフドラマが何話も生まれそうです。

朝ドラの女一代記に付き物の重要な登場人物の死が一度もなっかたのも驚き。

涙は悲しみではなく、感動の場面で幾度も流しました。



ドラマに込められた伏線の張り方もお見事。

最終回の重箱のエピソード。毎年25歳が続く早苗さんの謎。

エンドロールでは主人公みね子、愛子さんの苗字が変っている仕掛け。

日々の変化の少ない生活を描いたドラマが、仕掛けが明かされ最終週で鮮やかに終結。

いかにも高度成長期の明るさを彷彿とさせる、希望あふれる結末となりました。



ドラマで流れたポップスの歌詞が画面に表示されるのも画期的。

当時青春期だった視聴者はきっと声を合わせて歌ったことでしょう。

ビートルズ、ツイッギー等のサブカルチャーの話題も満載。

脇を固めた俳優、宮本信子、古谷一行の二人はまさに団塊生まれ。

みね子をはじめ集団就職組の現在を暗示しています。

懐かしんでいるうちに、我々もいつの間にか古希を迎える歳。

あっという間の50年でありました。


2017/09/25 719

. 平山郁夫展 .

岡田文化財団が運営する三重県菰野町のパラミタミュージアム。

今年が開館15周年。

今、特別企画の「平山郁夫展」が開かれています。



訪れてみると、駐車場は満杯。多くの観覧者で大賑わいです。

数年前、瀬戸内のしまなみ海道を旅した折、偶然立ち寄った平山郁夫美術館。

その作品に圧倒され、今回再見できることに胸ワクワクです。



広島の勤労動員先での被爆体験。

それが彼の仏教への深い思いと平和への希求の発露となりました。

特に代表作のシルクロードの数々の作品は観るものを圧倒します。

今回「パルミラ遺跡を行く」と題された作品は朝、夜の二点が並べて展示され壮観。

多くの観覧者が立ち止まり、人垣ができるほどです。



タリバンによって破壊されたバーミアンの遺跡。

これも破壊前と破壊後の二作品が並べられ、彼の悲しみと怒りが伝わってきます。

戦争の悲劇と破壊の虚しさ。被爆者、平山郁夫の想いが一層観るものに迫ります。



一転、日本の風景、とりわけ故郷の瀬戸内海を描いた絵の優しさ、繊細さ。

確かなデッサンと構図の素晴らしさは日本画のこころ、ここにありの感。

およそ100点に及ぶ大展覧会。

心地よい疲労感と充実感に満ちた秋の休日でありました。

10月22日まで。





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