2017/08/16 713

. メイド イン ヨッカイチ .

お盆休みに四日市市制120周年の企画展「メイド イン ヨッカイチ」を見に博物館へ。

ここは混雑とは無縁のよく言えば静けさ、はっきり言えば閑散さが際立っています。

中に入ると私と家内を含め入場者はなんと4名のみ。

子供連れで一杯の階下のプラネタリウムとは格段の違いです。

果たして500円の入場料の価値は有りや無しや。



四日市の生み出した産業の歴史が製品と共に一目瞭然。

往時の写真と資料は眼を見張るばかりです。

特に興味深かったのは昭和6年の伊勢毎日新聞新年号付録の四日市港繁盛すごろく。

50に及ぶ当時の代表的企業が並ぶ一種の名鑑です。

しかし栄枯盛衰は世の習い。

イオンの前身の岡田屋、現在のトランスシティの四日市倉庫など現存する企業は数社の
み。

歴史の重みと時代の変遷を感じ、身の引き締まる思いです。



当時室山町にあった清酒「八島」。なんと1900年のパリ万博で金賞を受賞。

立派な受賞額が展示されており、びっくり仰天です。

モンドセレクションに当社が出品する遥か以前の先達の偉業に敬礼。

三重県人の進取の精神にも感動しました。



その他、おなじみの萬古焼、団扇から変わり種では野球の硬式ボールまで。

四日市の歴史を産業の視点で見る面白い企画展です。

最後に苦言をひとつ。

せっかくの展示会ながら市の広報が全く不足。

おまけに目録はおろかパンフレットひとつ無し。

博物館のホームページに至っては説明さえありません。

民の活発な企業活動の歴史を知るほど、官のおざなりさ、怠慢さが際立つ皮肉な展覧会でもありました。




2017/08/07 712

. 美術番組 .

週末のテレビの楽しみはテレビ東京系の「美の巨人」とEテレ「日曜美術館」。

両番組とも地味ながら根強いファンを持つ長寿番組です。



前者は1つの絵、陶器、建築等、作品に秘められた秘密を解き明かすミステリー仕立て。

一方「日美」は芸術家の生涯を作品を通して語る番組で、対照的です。

一点の作品と一人の芸術家。

日美は開催中の展覧会に連動し、事前の学習にはピッタリです。



美の巨人は絵画警察が登場するコメディドラマが売り。

ドタバタ調と思いきや、しっかりとした考証と調査でなるほどと作品を観る角度が変わります。

日美はさすが予算たっぷりのNHK。

ファンのタレントがお気に入りの作品を語るなど、ぜいたくな企画が目白押し。

たけしvs ピカソ。石橋凌と青木繁。樹木希林と魯山人等々。

いかにもらしい作家論が展開され興味津々。

タレントの意外な側面が垣間見え、美術番組らしからぬ面白さです。

また案内人の一人が俳優の井浦新。

彼のたどたどしい感想と背後にのぞく教養と芸術への並々ならぬ情熱。

また解説陣の表現の巧みさに思わず唸ってしまうこともしばしばです。



楽屋落ちの騒がしいおしゃべりで、ウンザリするバラエティ番組全盛のテレビ界。

知恵を絞ったテレビ東京と潤沢な資金に物を言わすNHK 。

芸術番組も変わったなあ、と実感するライバルシリーズ。

一度ご覧になって見てはいかがですか。





2017/07/31 711

. レサワ .

「レサワ」なる飲み物をご存知ですか。今首都圏でブームのレモンサワーの略語です。

もともとは酎ハイのレモン味。下町のお父さんの飲み物がオシャレに進化しています。



レモンサワー発祥の中目黒の居酒屋「ばん」。

なかなか一見では入れないほどの賑わいです。

ここのサワーはレモン半分を絞り、キンミヤ焼酎と炭酸強めのハイサワーをミックス。

テーブルには飲んだ杯数分のレモンがタワー状に積み上がり、なんとも壮観です。



手絞りレモンサワーがドンドン変化し、キンミヤを凍らせたシャリキンレモンへ。

その後、レモンそのものを凍らせてすりおろしたサワーが登場します。

焼酎と果物の両方をフローズンした究極のサワーなど進化が止まりません。



今まではサワーを紹介するのはほとんどが盛り場系男性誌でした。

それが最近ではオシャレな女性誌が特集を組むほどです。

その一例が先週発売の雑誌「アンアン」の「レモンサワーに恋してる」。

元祖レモンサワーから、ぶっ飛んだ進化系レサワが売りのお店紹介。

プロが指導する本格的レモンサワーの作り方から、原料である焼酎、炭酸メーカーへの取材記事。

不肖私もインタビューを受けており、なんとも気恥ずかしいかぎりです。

焼酎ハイボールが酎ハイとなり、レモンサワーがレサワへ。

単なる飲み物が一種のパフォーマンスアルコール飲料へと変化しています。

果たしてこのブーム、どこまで進化して行くのでしょうか。



2017/07/24 710

. 巡る .

今年の社員旅行は兵庫県の城崎温泉。

ここは志賀直哉の小説で有名というのは昔話。

今は人気作家 湊かなえさんのお気に入りの温泉という方が、若者には通りがいいようです。

温泉街のお土産店には、当地限定の「城崎へ帰る」という彼女の小説が販売されています。

その装丁はなんと蟹の足そっくり。

ネットでも全国の書店でも買えないレアものとして、人気ナンバーワンのお土産だそうです。



この温泉の本当のウリは外湯めぐり。

7つの温泉街の外湯を浴衣、下駄でカラコロと廻るのはなんとも言えぬ風情です。

街の真ん中を流れる川。両岸の柳から吹く風。

懐かしさと穏やかさいっぱいの散策です。

それぞれの湯に特徴があり、多くの宿の下駄が上がりがまちに並ぶ様は壮観。

西洋からの観光客も浴衣、下駄でおっかなびっくりしながらはしゃいでいます。

古き良き日本の温泉の伝統が見事によみがえり、今や注目の温泉地として脚光を浴びています。

旅行の昼食は出石町の皿そばめぐり。寛永通宝を模した古銭で蕎麦屋を三軒食べ歩きです。

なんとこの小さな町に蕎麦屋が30軒以上。

それぞれの店は蕎麦、ツユ、薬味に趣向をこらし、その味を競っています。

小京都の街並みを地図を片手の蕎麦屋めぐり。

地酒の酔いも手伝って、ついつい長居をしてしまいそうです。



城崎、出石の2つの観光地。共通のキーワードは「巡る」。

お客様に選択させ、結果として街を一周させる趣向。

今流行りの全国各地で行われる街バルの原型を見た思いです。

古き風情に新しい仕掛け。「モノからコト」時代への対応、実にお見事でありました。






2017/07/18 709

. 人工生命体 上陸! .

先週の日曜日、三重県立美術館を訪ねました。

近鉄津駅から歩いて行くと、何やら普段と景色が違います。

エントランスへ続く道が渋滞です。

なんと駐車場が満車で待ちの車が道路まで。

こんなことは滅多にありません。



滅多にないといえば、会場が子供の声と歓声であふれています。

美術館の静謐な、よく言えばお上品、悪く言えば気取った雰囲気とは大違いです。

今日はオランダの作家 「テオ ヤンセン」展の二日目で、

彼のトークとデモンストレーションが行われる日。

大勢の親子連れで展示品の前は鈴なりの人だかり。



惹句の「人工生命体 上陸!」に惹かれた私同様、風の力で動く展示物に皆さん興味津々。

プラスチックチューブの複雑な組み合わせと、空気を蓄えるペットボトル。

その奇妙な物体が動力を使わず、まるで生命を持った動物のように目の前で動く様は、

驚きと同時に感動さえ覚えるほど。

彼は果たして芸術家なのか、はたまた技術者なのか、科学者なのかといった議論は

無意味です。

ただその作品を無条件に受け入れるのみ。



作品を前にした子供達の目の輝き。

実際に動かしてみて感じる驚きの仕草。

写真、動画を撮ること、パーツを触ることさえOKの破格の展覧会。

将来の日本のアーティストの誕生の予感さえ感じさせる素晴らしい企画です。

開催期間は夏休みをはさみ9月18日まで。

家族連れで、出来れば電車での来場がおすすめです。





前の記事へ

 

HOME